組織力の強化

人的資本経営では組織力が不可欠であることは先に述べた通りです。というのも、人的資本の向上は、個人の能力やスキルを高める施策に焦点が当たりがちですが、決して個々の人材に対する打ち手ばかりでなく、個人の力が結集するとそこに相乗効果が働き、個人の力の総和を遥に上回る組織力が形成されます。人的資本が増大し、結果として企業価値を膨らませることに繋がります。

これは、組織力=個人の力の総和(1)+相乗効果(2) の算式で表現することができます。

では、ここで組織力を極大化するためにどのような施策が有効なのか考えてみます。

個人の力(1)

個人の能力を引き出す代表的な施策として、次の2つをご紹介します。

①目標設定とフィードバック
チャレンジングで高難度の目標への行動経験が人に成長実感を与えます。更に達成結果の内省と辛口評価も含めてフィードバックを確り行い、課題を共有します。

②従業員エンゲージメント
エンゲージメントの向上によって個人が力を発揮させるときに必要な条件は、次の3つです。
  ・適切なエンパワーメント(権限移譲)があるか
  ・組織の共通目的に対して自己の意見を反映できるか
  ・組織の明確な方針の下、自律性が保たれた業務遂行ができるか 等

相乗効果(2)

個人の力に総和に相乗効果をもたらし、組織力を向上させる主なファクターは次の2つと言われています。

①多様性の受容
優れた企業や組織に共通する特徴は、新たな価値観や考え方に対してオープンマインドの姿勢であることです。多様性溢れる組織がイノベーションを加速させることは明らかです。特に、経験やキャリア、国籍や性別などの多様性が重要です。

②心理的安全性
心理的安全性については自律型人材のページでも触れましたが、人的資本向上には不可欠な要素であり、かつ、相乗効果の働きが大きいと言われています。

これら組織力を向上させるために有効な4つのファクターは、どれも人的資本の情報開示におけるポピュラーな指標、施策であることに気がつきます。したがって、このように個々の施策への地道な取り組みからであっても、あるいは組織力強化からのアプローチであっても、人的資本の向上に帰結することがわかります。