人材ポートフォリオとは、事業戦略に基づいて必要な人材の質と量の構成を表し、人材調達の方針策定に結び付けるフレームワークです。具体的には、「どの組織や部署に」「どういった特性やスキルを持ち合わせた人材が(を)」「どのくらい居る(配置する)か」を示すもので、As isとTo beの充足を表します。
人材版伊藤レポートでは、「動的な」人材ポートフォリオという表現が用いられていますが、動的とは、「その時点のあるべき事業や業務の状態に対して、適切な人材配置を表している」と解釈できます。従って、事業計画や事業ポートフォリオを的確に反映した人材ポートフォリオであることが必要です。
この動的な人材ポートフォリオを適切に運用することで、人的資本が最大化し、企業価値の向上を果たすことができます。つまり、社員にとっては自身の強みやキャリア志向に沿った業務に携わったり、適切な教育を受ける機会が増えるためエンゲージメントが向上に結びつき、企業にとっては事業戦略に適った人材を配置しやすくなるため、業績拡大を加速化させるうえで効率的なマネジメントが可能となります。
その一方で、動的な人材ポートフォリオの枠組みを導入することによって、人材の外部調達や配置転換、リスキリング、あるいは人材の出口戦略の必要性など人材戦略上の課題が浮き彫りになる可能性もあります。人的資本経営においては、企業価値の向上に向けて投資家に対して適切な情報開示が求められる今、既成概念に囚われない組織の変革を進める姿勢も重要です。
<事業成長の見通しと人材投資スタンスの確立>
<人材ポートフォリオの構築例>
出所:株式会社エトワール