OKR

OKRとは「Objectives(目的・目標)&Key Results(主要な結果)」を略した言葉で、意欲的な目的・目標(O)」を掲げて達成するサイクルを繰り返すことによって、組織のあり様を大きく変える目標管理手法のことです。

米国のインテルなど競争環境の速いシリコンバレーで進化し、グーグルなども採用したと言われてます。OKRには次のような特長があり、その運用は組織マネジメントのスタイルを一変させることが期待されます。

●組織の飛躍的成長や飛びぬけたチャレンジ(ムーンショット)を促します。
●組織が同じ重要な課題に全力で取り組むため一体感を生み出します。
●MBOなど従来の目標管理と比べて高い頻度で目標設定、追跡、再評価を行います。

OKRの特徴

■OKRの構成:一つの目的(O)と複数の重要な結果指標(KR)
①目的(O)は、「何を実現・達成したいのか」を常に意識させる定性表現を用います。
②重要な結果指標(KR)は、目的(O)への到達度を定量化して表現します。

■目的(O)設定の要件
➀意欲的でチャレンジングであること(ムーンショット)
②魅力的であること
③一貫性を持つこと

■重要な結果指標(KR)設定の要件
➀目的(O)と密接に結びついていること
②計測可能であること
③容易ではないもの到達が不可能ではない水準であること(成功確率50%程度)
④重要なものに絞ること

■OKRがもたらす効果
➀組織全体が共通目的に向かって方向感が揃う
②組織内の縦横すべての関係で目的・目標・進捗が共有できる
③変化の速い外部環境の動きにもタイムリーに対応できる
④MBOでは難しい高い目標へのチャレンジ意欲を引き出すことができる

■OKRのメリット
➀戦略実現への道筋・ストーリーを描き、整理が出来る
②OKRが方向性を示してくれるので、マネジャーはリーダーシップを発揮し易くなる
③OKRを組織内で共有することによって程よい緊張感を保ちやすい
④不慣れなマネジャーでもマネジメントを仕組み化できる
⑤メンバーへのエンパワーメント効果と創造性を引き出すことが出来る
⑥共通目的と個人目標が一貫性をもってリンクしているので経営参画意識を醸成できる

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OKRの導入準備

■OKR導入目的の整理
このようにシンプルで使い勝手も良く実効性の高いOKRですが、導入するに当たっては夫々の当事者や関係者、あるいは業務遂行面でも負担がかかるため、なぜ自分たちがOKRを導入したいのか、その目的を整理・検証するところから始めるべきです。
例えば、次のような状況を抱えており、今まで各種の施策を講じてきたものの実効が上がらなかった等、現状のマネジメントの閉塞感を打破したい場合に導入すると一定の効果が期待できます。

➀社内でも肝入りの既存事業を飛躍的に成長させたい
②新規事業を立ち上げる際の確度を高めたい
③限られた時間の中で一定の成果をあげたい
④組織変革・事業改革の突破口としたい
⑤社員の自律性を養いたい
⑥マネジャーの育成を図りたい 等

■ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)の社内発信と浸透
経営トップはMVVを繰り返し社内に発信し続け、現場リーダーはトップの言葉を翻訳し現場に落とし込むために翻訳したうえで組織の隅々まで浸透させることが必要です。OKRでもMBOでも目標の設定や遂行に当たっては部門やチームのミッションとしての「果たすべき役割」をメンバーに理解させることが重要です。

■戦略立案とコンセプトの明確化
組織の目的をどのように実現するかの手段を示すものが戦略ですが、経営資源には限りがあるため実行できる戦略も限られます。「やるべきこと、やらないこと」の両方を明確にして事業判断があって初めて正しい戦略実行と言えます。
また、リーダーはOKRに取り掛かる前に事業推進のコンセプトを整理する必要があります。「どの市場に存在する、誰に、どのような価値を提供するのか」を明確にすることによって方向性がブレることを防ぎます。

OKRの設定

OKRを進めるためには、まずOKRの構造、いわゆるOKRツリーの形を決めることから始めます。続けて各階層で取組む目的(O)と重要な結果指標(KR)を設定し、併せてOKRを運用する際のルールを決めます。

■OKRツリー

■OKR設定の基本事項
➀組織内での階層数と回す期間
②到達目標の高さ(チャレンジ目標、コミットメント目標)
③親子間結合パターン(親KR1:子OKR1、親KR1:子OKR複数、親KR複数:子OKR複数)
④チーム編成(組織図準拠型、プロジェクト準拠型)
⑤その他(個人OKRへの展開、人事評価への反映等)

目的(O)の設定
Oは、期間内(階層によって3ヵ月~から1年間)で自分たちは何を実現したいのかを言語化します。その内容は決して思い付きではなく、関係者がビジョンやミッションに共感した結果が表現されるべきです。そのためには一度そのストーリーを関係者全員で振り返り、これまでの経緯や組織の現状、環境変化に根差した内容で、かつ、次の点に留意して表現する必要があります。
➀定性的表現を用いること
②簡潔明瞭かつ具体的で身近に感じられること
③組織ビジョンや親KRへの貢献が明確にイメージできること
④限られたリソースを投入すべき内容であること

■重要な結果指標(KR)の設定
KRは、Oを実現できたかどうかを判断するための尺度(ものさし)です。どのように実現するかの手段ではありません。つまり行動指標ではなく結果指標であり、しっかり目的到達を判断できるものである必要があります。現在の延長線上で考えるものではなく、本当にOに繋がる指標は何かを考える必要があります。KR設定のポイントは次のとおりです。
➀定量化した指標であること
②測定・観察可能である指標であること
③結果を総合的に判断できるよう複数のKRをバランスよく設定すること
④ストレッチ目標(到達率60~70%程度のもの)を織り交ぜること
⑤当事者が自ら対策を打てる指標であること

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OKRのパフォーマンス評価

OKRではストレッチ目標の設定が重要な要件となりますが、従来の目標管理制度のように人事考課と直接結びつけてしまうと高いレベルの目標ほど低評価、報酬ダウンのリスクが高まり、社員はストレッチ目標を避ける行動に出てしまいます。従って、OKRの結果を人事評価にそのまま反映することはOKRの本来の機能を損なうことなるため、直接結びつけない手法を採るのが一般的です。

例えば、期を通してOKRを含めて本人が取り組んだ内容、その取組み姿勢、業務を通じて本人がどう成長できたか、あるいはOKRの結果を評価に取り込みたいのであれば、貢献度とストレッチ度のに加え、自社の行動バリューの発揮度を多面的に評価することも有効です。