前回のコラムでも述べましたが、ジョブ型導入の場合に頭を悩ませるのが「職務調査→職務分析」のプロセスではないでしょうか。大変な手間がかかる作業となります。この作業は職務評価を実施する上で必要とされる「職務記述書(ジョブディスクリプション)」を作成するために必要な工程であるため、職務給体系を構築する上では絶対的に不可欠なステップとして位置付けられているような感もあります。

 しかし、ここで問われるのは、職務給体系を設定するに当たってジョブ型の対象となる職務に対する職務評価が適切に行われているかであり、それは裏を返せば、差し当たり職務給体系の設計を急ぐ場合などで別の方法で職務評価を実施できるのであれば、職務調査やジョブディスクリプションを作成する工程を省略もしくは後回しにすることでも問題ない場合も少なくありません。

 特に中堅・中小規模の企業など組織全体を俯瞰的・横断的に見渡せる方(経営幹部や事業本部長クラスなど)が数名程度居れば、その方々が寄り集まって一定の項目に従って要素点数法で職務評価を行えば事足りることがあります。筆者はこのような簡便法を用いて数社の職務評価に携わりましたが、個別評価の結果は評価者間でほぼ似たような傾向を示すことが多く、職務評価としての妥当性は十分だと認識しています。印象としては、5名程度の方々で多面評価を行ったポイントによって職務の序列化を行い、職務給テーブルに展開するのが最も効率的と思われます。

 では、ジョブディスクリプションを作成する必要がないかと言えば、そうではなく、職務というのは環境変化によってサイズも深さも社内価値も日々変化していくので、職務評価を実施した時点での職務内容(目的、期待成果、必要能力、数値規模等)を明確に記述しておく必要があります。その内容に変化が現れた際に職務給テーブルの微調整で済ませるのか、職務の再評価を実施する必要があるのかを改めて検証しなければなりません。

 従って、職務給体系を設計する時点では必ずしも職務調査は必要ありませんが、職務評価は行う必要があります。ただし、職務給体系を維持するうえでは職務記述書が必要ですので、何らかの職務調査(分析)は行っておく必要があるということになります。

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