前回のコラムで、ジョブ型人事制度の導入に適しているのは、組織の構造やポスト・役割がある程度普遍的で変化が少ない企業であることを紹介しました。今回は中堅・中小企業でジョブ型を導入する場合にどのような点に留意して進めたら良いのかをお話します。

 まず、一般的に中堅・中小企業は、社員数も数十人から数百人程度と絶対人数が少ないばかりでなく、大企業のように担当業務が専門分化されていないことが珍しくありません。従って、ジョブ型制度の設計・導入などといった大型プロジェクトを進めるための十分なマンパワーも兼ね備えておらず、導入してからも職務記述書(ジョブディスクリプション)のような管理ツールを適時適切にメンテナンスを継続することも難しい状況です。

 そのため、ジョブ型の設計に当たっては当社のような小回りの利き、設計段階のみならず導入・定着化までの運用の初期段階までは当社のようなコンサルタントを起用しながら進めていくのが得策です。加えて、運用面の負担を極力排除しながら、導入後の形骸化を防ぎ、速やかに現場に定着することに心血を注ぐべく、極力シンプルな制度に設計すべきであると考えます。

 例えば、中堅・中小企業において、どのレイヤーにジョブ型人事制度を導入するのかを考えたとき、私自身は部長や課長のマネージャー職(場合によっては監督職のミドル系まで)と一部のスペシャリスト職が対象となるのではないかと考えています。というのも、マネージャーやスペシャリストは組織の中でのミッションや職責が明確であり、ジョブサイズもほぼ普遍的であるため、ジョブ型の理念に馴染みやすいからです。それ以外の一般社員については、むしろ役割や職務を固定させることなく、マルチタスク化を進め、人材育成の加速化を図るマネジメント体制の下、無理にジョブ型に乗せることなく職能型等で運用する方が企業規模のメリットを活かせるのではないでしょうか。

 また、ジョブ型というと、まずは「職務調査(分析)→職務記述書の作成」ありきを唱える風潮がありますが、中堅・中小企業ではむしろ職務記述書は省略あるいは簡略化し、その代わり、職務評価は要素比較表で確りと行い、客観性に富んだジョブグレードを設計することの方が意義深く、この辺を整理して進めると、シンプルでハイブリッドなジョブ型人事制度の導入が可能になります。

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