社内風土変革

VUCAと称される将来予測が困難な時代となり、先行きが見通しにくいビジネス環境の中。求められる人材像も大きく変化し、必要とされる行動やスキルの見直しが迫られている企業も少なくありません。

特に昨今のDX推進の機運が高まる中でのテック対応人材を中心とする労働需給の逼迫、企業内における世代間意識のギャップ、また、コロナ対応によるテレワークの普及による対面コミュニケーションの希薄化等も影響し、組織風土変革の必要性が大きく叫ばれています。

組織風土変革の意義

組織風土とは、組織の構成員の考え方や行動、感情にも大きく影響を及ぼす、明示的・黙示的な規範・価値観と定義されますが、端的に言えば「組織の慣習」とも言えます。しかし、この黙示的慣習には多くの不文律が含まれており、変革することは容易ではありません。

経営者が社員に対する憂いとして次のような愚痴を耳にすることがあります。
・将来のビジョンや考え方を何度も発信しているのに、末端まで浸透・共有されていない
・社員は言われたことしかやってくれない。自主性に乏しい指示待ち社員が多い
・自分事としての意識が低く、面倒な仕事を引き受けたり、積極的な発言をしようとしない
・成長速度が遅く、いつまでも視座が低い。発想も幼く拡がりが無い
・優秀な若手社員の定着率が悪い。将来の不安や会社への不満をよく口にする

こういった悩みを持つ企業は増える一方ですが、これらは全て組織構成員である「人」に起因しています。従って、組織風土変革の目的は、組織自体や所属構成員が経営とベクトルを一にして自らが考え使命感をもって動くようになること、つまり「自走型組織の構築」「自立(自律)社員の育成」「自主・自発のカルチャーの醸成」が目指すゴールとなります。

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変革のアプローチ

組織風土変革を進めるに当たっては、ハードとソフトの両面から打ち手を考える必要があります。ハード面では、戦略・方向性・価値観等の「ビジョン」、そして制度・仕組み・規則・ルール等の「システム」の可視化されている2方向の変革があります。一方、ソフト面では、仕事の定義や進め方、コミュニケーションなど目に見えにくい、行動の「プロセス」の変革があり、ビジョン、システム、プロセスの各アプローチがバランスよく組み合わせることが重要です。

特に組織風土の醸成に大きく影響を及ぼすファクターとして、以下のようなものが挙げられます。
・経営ポリシー、経営者のスタンス、マネジメント行動
・人事処遇ポリシー、評価制度の運用と賃金等処遇への反映状況
・雇用政策、採用基準、教育制度、多様する働き方の受容度
・心理的安全性、コミュニケーションの活性度 等

また、社内で変革プロジェクトを進めるに当たっての基本的なステップは以下のような流れで進めていくことになります。

➀変革を行う目的の整理(危機感と将来のありたい姿の共有)
②現状把握と組織診断(理想像と現状のギャップ分析)
③変革ストーリーの作成(次のテーマ例への落とし込み)
 ・経営理念、ビジョン、ミッション、価値・行動規準の構築・浸透・共有化
 ・ビジネスモデル構築、事業戦略策定、組織体制の強化
 ・組織人材マネジメント、人事制度、人材育成策の見直し
 ・職場内コミュニケーションの活性化、リーダーシップの強化 等
④モデル部署でのプレ実施
⑤仮説検証と横展開
⑥定着のための仕組みづくり
➆KPI測定とフォローアップ

自走型組織構築の成立要件

上記の通り、組織風土変革のゴールを「自走型組織の構築」「自立した社員の育成」に設定する場合、夫々の組織像や人材像の明確に定義しておく必要があります。また、自走型組織の構築に当たってはいくつかの条件が必要となります。

自走型組織の定義(例)
経営者や幹部と社員の間に信頼感が醸成され、社員は会社が目指す方向性を理解しており、殆どのケースに置いて具体的なアクションについて指示・命令を出す必要が無い組織

自立した社員の定義(例)
上からの指示や命令を待つことなく、自分で考えて必要かつ適切な行動を起こせる社員

自走型組織構築の成立要件
➀組織全体に心理的安全性があること
②実現したいと心から思えるビジョンがあること
③問題を起こした人を追及するよりも問題発生の構造にフォーカスすること
④互いに傾聴し合う質の高い対話を重ねること