ご挨拶

■コロナ禍は企業変革にとって千載一遇のチャンス
 世界中が新型コロナウイルス感染症の猛威に振り回されてから早1年が経過しましたが、「ニューノーマル」と表現されるように、コロナ禍は我々日常の生活様式や価値観において後世に語り継がれるほどの計り知れない変容をもたらしました。企業経営の現場でも、半ば強制的な形でリモートワークの導入が始まったことで従来の人材マネジメントの手法では対処できなくなったため、そのような問題を早期に解決するべく新たなマネジメントスタイルを取り入れる動きが顕著になりました。弊社に対しても「職務自体や成果で評価できるよう、職務記述書に基づくジョブ型人事制度を導入したい」といった相談が増えていることから、コロナ禍は各所に影響を及ぼしていることがわかります。

 このような動きを見て思うことは、これまで日本企業がその必要性を認識しながらも遅々として進まなかった人材マネジメントの変革、つまり、新卒一括採用や職能資格制度などメンバーシップ型からの脱却によるジョブ型雇用への移行、職務や役割、成果へと新たな評価軸への転換、同一労働同一賃金や副業推進、長時間労働の是正など働き方改革等、人材を起点とする経営改革が一気に進む土壌が整いつつあるということです。昨今取り沙汰されている経路依存性とは、多種多様な要素が合理的かつ複雑に絡みあい、特定の一要素を変えても大きな変化には至りにことを表す経営学で用いられる専門用語ですが、コロナ禍によって企業の人材マネジメント施策における経路依存性が大きく崩れたと言われており、裏を返せば経営改革を進める上ではコロナ禍の今、千載一遇のチャンスが到来したという見方もできるのです。

■キーワードは変化への対応力 
 一方で、企業の人材マネジメント施策や人事制度の仕組みというものは、本来企業の中期的戦略に沿った人材育成方針や企業文化の形成の根幹となるポリシーが組み込まれたものであり、また、日本では解雇を始めとする労働法制の縛りも依然として残るという点に留意すれば、単にコロナ禍による業務環境変化の現象面だけを取り上げてジョブ型制度への転換を図ることは、やや無謀とも言えます。メンバーシップ型に長らく慣れ親しんで成長を遂げた日本企業が、突如として職務記述書を整備して、デジタルな職務評価や職務給体系を中心とするジョブ型マネジメントへ移行したからと言って、コロナ禍における業務管理上の問題が解決すると考えるのは早計であり、実務面でのハードルが高いことは明らかです。

 コロナ不況の影響は企業によって大きく明暗が分かれつつあります。人流の制限に伴い、航空・外食・小売業界などの業績は大打撃を受ける一方で、GAFAMなどコロナ禍を物ともせずに業績拡大を続ける企業、あるいは逆にコロナ禍を事業転換のチャンスと捉えデジタル化に向けて積極投資を進め、DXを柱としたビジネスモデルを構築し業績を急回復させる企業も続々と出現しています。このように、劇的で予測困難な環境変化をどのように克服し、どのくらいのスピード感をもって企業体質の強靭性を高めるのかという本質的な課題に直面したとき、変化への対応力を発揮できる企業とそうでない企業の間では、将来の組織力に大きな差が生じることは想像に難くありません。さらに言えば、企業が抱えている多くの経営課題は人材マネジメントと深く関わっており、組織力の差は、人材マネジメントの課題に対する企業の取り組み姿勢の違いから生じると言っても過言ではありません。

■ジョブ型転換は日本型経営に新たな価値観をもたらす
 ジョブ型人事制度を始め一連の働き方改革への取り組みは、少子高齢化、テクノロジー人材の確保、グローバル化といった、多くの日本企業が抱える経営課題を抜本的に解決するための最も有効な手段の一つであることを理解し、単に目先のコロナ禍による業務管理上の問題解決などといった動機ではなく、長期的視点での経営体質の強化を成し遂げる覚悟の下で、効果が発揮されるものであることを認識しなければなりません。日立製作所、資生堂、富士通、KDDIといった名だたるグローバル企業がジョブ型への移行を進め、さらに後を続くように、中堅・中小企業の中にも従来のメンバーシップ型の利点も残しながら数々の工夫や改良を重ねながら自社に合ったハイブリッドなジョブ型を採用する企業も増えつつあります。そういった企業の多くは、決してコロナ禍のどさくさに紛れ一過性の職務給ブームに乗っかっているわけではなく、劇的な環境変化の下で命運を賭けて経路依存性の呪縛から脱却し、不可逆的なジョブ型システムへの移行にチャレンジしているのです。

 当社は、コンサルティングの現場では有りがちな、顧客企業の業務管理の現象面だけで目新しい制度を推奨するようなことはせず、顧客企業の将来価値を極大化するためにどのような対応力を獲得することが望ましいかを考えることを最優先に、取り組むべき人材マネジメント施策を探り出します。経営改革の一環として、当社コンサルティングサービスをご活用頂けましたら幸いです。

株式会社エトワール
代表取締役